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東京地方裁判所 平成元年(特わ)930号 判決

本店所在地

東京都世田谷区祖師谷一丁目二六番五号

有限会社福田精密

(右代表者代表取締役 福田一儀)

本籍

東京都世田谷区祖師谷一丁目九二番地の九

住居

同都同区祖師谷一丁目二六番五号

会社役員

福田一儀

昭和八年九月二四日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社福田精密を罰金三八〇〇万円に、被告人福田一儀を懲役一年二月に処する。

被告人福田一儀に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社福田精密(以下、被告会社という。)は、東京都世田谷区祖師谷一丁目二六番五号に本店を置き、挽物(カメラ、電気部品)の加工組立及び販売等を目的とする資本金一三〇万円の有限会社であり、被告人福田一儀(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入を計上し、期末たな卸高を水増し、有価証券譲渡益を除外する等の方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五八年六月一日から昭和五九年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億三七八一万三六四四円であった(別紙1修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和五九年七月三〇日、東京都世田谷区若林四丁目二二番一四号所在の所轄世田谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三九三万一三三六円であり、これに対する法人税額が一二一万八六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第七七九号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額五八六八万九〇〇〇円と右申告税額との差額五七四七万〇四〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和五九年六月一日から昭和六〇年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億三〇七八万五八七二円であった(別紙3修正損益計算書参照)にもかかわらず、昭和六〇年七月二九日、前記世田谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一〇九万九七四〇円であり、これに対する法人税額が三八二万一八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第七七九号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九八九四万五九〇〇円と右申告税額との差額九五一二万四一〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  河野ミチエの検察官に対する供述調書

一  収税官吏作成の当期仕入高、期末たな卸高、給料手当、福利費、交際接待費、支払手数料、雑費、受取配当、有価証券譲渡損益の調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  押収してある昭和五九年五月期法人税確定申告書一袋(平成元年押第七七九号の1)

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の期首たな卸高、外註加工費、交際費等の損金不算入額、事業税認定損の調査書

一  押収してある昭和六〇年五月期法人税確定申告書一袋(平成元年押第七七九号の2)

(法令の適用)

罰条

被告会社 各法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により一五九条二項

被告人 各法人税法一五九条一項

刑種の選択 被告人につき懲役刑選択

併合加重

被告会社 刑法四五条前段、四八条二項

被告人 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)

刑の執行猶予 被告人につき刑法二五条一項

訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社 罰金四五〇〇万円 被告人 懲役一年二月)

(裁判官 柴田秀樹)

別紙1

修正損益計算書

有限会社福田精密

自 昭和58年6月1日

至 昭和59年5月31日

〈省略〉

別紙2

脱税額計算書

有限会社福田精密

自 昭和58年6月1日

至 昭和59年5月31日

〈省略〉

別紙3

修正損益計算書

有限会社福田精密

自 昭和59年6月1日

至 昭和60年5月31日

〈省略〉

別紙4

脱税額計算書

有限会社福田精密

自 昭和59年6月1日

至 昭和60年5月31日

〈省略〉

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